慈悲の仏

長谷寺は、真言宗豊山派(しんごんしゅうぶざんは)の総本山として、全国に多数存在する「長谷寺」の原点であり、かつ三千の末寺を持つ壮大な寺院。初瀬の地は古くからの聖地で、源氏物語や万葉集にも登場します。西国三十三所観音霊場の第八番札所としても知られる長谷寺は、四季を通じて境内が花に彩られる「花の御寺(みてら)」として親しまれ、多くの巡礼者を楽しませています。特別拝観期間中は国宝の本堂の中に入り、観音様の御足に直接触れてお参りができます。

境内案内

  • 重要文化財

    十一面観世音菩薩

    十一面観世音菩薩重要文化財

    木造十一面観音立像 / 重要文化財 高さ3丈3尺6寸(10m18cm)
    金色に輝く観音像は、慈悲の心あふれる優しい表情をされています。
    頭上に十面のお顔を持つ十一面観世音菩薩の無限の慈悲を秘めたまなざしに、参詣者は自然と手を合わせます。
    観音様の持物である華瓶を左手に持つ一方、地蔵菩薩のように右手に錫杖と念珠を持っています。そのため観音と地蔵の両方の徳を併せ持つとされています。古くから現世利益を授ける仏として厚く信仰されてきました。
    度重なる火災に遭い、現在の像は天文7年(1538年)に再興されたもの。
    日本最大の木造観音像として、今も昔も人々の敬愛を集めています。

    十一面観世音菩薩 本尊のお御足

    内々陣の中に祀られた巨大な本尊十一面観世音菩薩は、通常上半身のみ拝することができますが、春と秋に行われる特別拝観の期間は、観音様の足元に入り、お御足に触れて「ご縁」を結ぶことができます。
    何百年もの間、人々の願いを身を呈して受けとめてきた観音様のお御足は、金箔が剥がれ落ちて煌めいています。

  • 国宝

    本堂(大悲閣)

    本堂(大悲閣)国宝

    本尊の十一面観世音菩薩が安置されている現在の本堂は徳川三代将軍・家光公によって再建されました。
    平成16年(2004年)12月、国宝に指定されたこの本堂は、入母屋造、本瓦葺きの堂々たる建築で、舞台からの景色はその美しさに息をのむほどです。

  • 修行に励む僧侶たち

    修行に励む僧侶たち

    長谷寺は若き学僧が精神を鍛え、教養を身に着ける教学の根本道場でもあります。
    午前5時の起床から午後10時の消灯まで、多くの僧侶たちが、厳しい修行に励んでいます。

  • 重要文化財

    登廊

    登廊重要文化財

    仁王門より本堂へと続く登廊は、屋根の付いた399段の石段で、天井には独特の長谷型灯籠が吊られています。登廊は4月下旬から5月上旬にかけて見頃をむかえるボタンの花に彩られます。

  • 四季の花

    4月 桜
    5月 牡丹
    6月 アジサイ
    11月 紅葉
    1月 冬牡丹
  • 五重塔

    五重塔

    昭和29年(1954年)、戦後日本に初めて建てられた五重塔で「昭和の名塔」と呼ばれています。
    明治9年(1876年)に三重塔が落雷により焼失、その後70年余を経て五重塔として再建されました。

  • 行事「だだおし」

    花の御寺に春をつげる
    「だだおし」

    毎年2月8日から厳修される修二会の最終日にあたる2月14日に行われる火祭り「だだおし」。
    三匹の大鬼が燃えさかる松明を手に、本堂の内外を駆け巡るさまは圧巻です。
    4mを越える大松明同士がぶつかって火の粉が舞い上がるたび、参拝者からは大きな歓声が上がります。一年間の厄難消除、無病息災、諸願成就を祈願します。

  • 重要文化財

    仁王門

    仁王門重要文化財

    長谷寺の総門。寺の守護神として,左右に2体の金剛力士(仁王)が祀られています。
    手に金剛杵をとり,忿怒相に表現された金剛力士像は、開口像を阿形 (あぎょう)、閉口像を吽形 (うんぎょう) と呼ばれます。
    現在の仁王門は明治27年(1894年)の再建。

  • 観音信仰

    観音信仰

    日本の巡礼は長谷寺から始まりました。
    長谷寺の礎を築いた奈良時代の高僧・徳道上人が病に倒れ、命を落とさんとしている時、 夢の中で閻魔王に出会ったという話が語り継がれています。
    そこで閻魔王は徳道上人に、悩み苦しむ人の為に三十三カ所の観音霊場を作るように命じ、現世へと戻しました。
    これが日本最古の巡礼である、西国三十三所巡礼の始まりです。
    今でも熱心に観音の慈悲の心を深く信心する巡礼者の熱気が漂います。

文化財紹介

  • 本堂(ほんどう)

    区分
    国宝(建造物)
    年代
    江戸前期 慶安3 (1650)
    概要
    徳川幕府による大規模な造営の代表的な寺院本堂。日本における観音信仰の中心的な役割を果たした重要な建築として国宝の指定を受けました。中腹に張り出した懸造り(かけづくり:山や崖にもたせかけたり、谷や川の上に突き出したりして建てること)(または舞台造り)の大建築で、間口、奥行きとも9間(16メートル以上)の本瓦葺き。正堂(内陣:神体あるいは本尊を安置してある神聖な場所)と礼堂(外陣:一般の人々が礼拝する所)をひとつにした双堂(そうどう)と呼ぶ様式で、間に石敷の土間(拝所:拝むための場所)を設けています。
  • 木造十一面観音立像 (本堂安置)(もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう)

    区分
    重要文化財(彫刻)
    年代
    室町時代 天文7 (1538)
    概要
    木造、漆箔、像高三丈三尺六寸(1.018.0cm)。国宝・重要文化財の木造彫刻の中で最大のものです。右手に錫杖を執り、方形の台座に立つ長谷式観音像で、堂々としたお姿は全国に広がる長谷信仰の根本像として威厳を十分に伺わせます。
  • 雨宝童子立像(うほうどうじりゅうぞう)

    区分
    重要文化財(彫刻)
    年代
    室町時代 天文7  (1538)
    概要
    木造、総高178.1cm。本尊に向かって左脇侍。初瀬山を守護する八大童子のひとり。また天照大神としても信仰されています。
  • 難陀龍王立像(なんだりゅうおうりゅうぞう)

    区分
    重要文化財(彫刻)
    年代
    鎌倉時代 正和5 (1316)
    概要
    木造、総高213.0cm。本尊に向かって右脇侍。本尊造立の際に影向した八大龍王のひとり。また春日大明神としても信仰されています。
  • 登廊(のぼりろう)

    繋廊(つなぎろう)・鐘楼(しょうろう)・三百餘杜(さんびゃくよしゃ)・上登廊(かみののぼりろう)・中登廊(なかののぼりろう)・下登廊(しもののぼりろう)・蔵王堂(ざおうどう)・繋屋(つなぎや)

    区分
    重要文化財(建造物)
    年代
    江戸前期 慶安3 (1650)・明治27 (1894)
    概要
    本堂へ至る「登廊」は上登廊、蔵王堂、中登廊、繋屋、下登廊からなる屋根付きの階段で、石段の数は399段、柱間は108間あります。この道はもと菅原道真(すがわらのみちざね)が登った小道で、長暦3年(1039)に観音の霊験のお礼で現在のような形になる。今の登廊は、上登廊・繋廊が本堂と同じ慶安3年(1650)の建立、中登廊・下登廊は火災により明治27年に再建されました。
  • 仁王門(におうもん)

    区分
    重要文化財(建造物)
    年代
    明治27 (1894) 
    概要
    両側に仁王像、楼上(ろうじょう)には「釈迦三尊十六羅漢像(しゃかさんぞんじゅうろくらかんぞう)」が安置されています。現在の仁王門は1894年に再建されたものです。
  • 長谷寺本坊(はせでらほんぼう)

    大講堂(だいこうどう)・大玄関及び庫裏(おおげんかんおよびくり)・奥書院(おくしょいん)・小書院(こじょいん)・護摩堂(ごまどう)・唐門及び回廊(からもんおよびかいろう)・中雀門(ちゅうじゃくもん)・土蔵(どぞう)

    区分
    重要文化財(建造物)
    年代
    大正13 (1924)
    概要
    「本坊」は徳川家綱(とくがわいえつな)将軍時代の1667年に寄進により建立されました。その後、1911年に炎上し、現在の建物は1924年に再建されたもの。各部に独創的な新しい意匠を用いた近代和風建築群(明治時代以降の日本で見られた、日本風の意匠を踏まえた建築様式)です。

参拝案内 / 交通アクセス

参拝時間 4月~9月/ 8:30am - 5:00pm
10月~11月・3月/ 9:00am- 5:00pm
12月~2月/ 9:00am - 5:30pm
※牡丹まつり期間等時間延長あり
拝観料金 入山料
大人 500円
中・高校生 500円
小学生 250円
所在地 奈良県桜井市初瀬731-1
交通アクセス 近鉄長谷寺駅から徒歩15分